日記(邂逅)

手紙・いなくなった友へ

今日のうちに、あなたは遠くへ行ってしまうのか。 夢の中であなたは 「僕は罪を犯しました。これから償いにいきます」 と言った。 一体、あなたの存在のなにが罪だったというのか。 あなたは狂気を望んでいたが、あなた自体は狂気でなかった。 だのにあなた…

お茶のこと・友人へ送る

鼠さんが一昨日ごろにみた夢の話をしてくれました。部屋で猫と遊んでいたら、お茶の葉を持った友人さんが遊びに来て、抹茶を点ててくれたそうです。喉にお菓子をつまらせた鼠さんが急いで抹茶を飲もうとしたら、「なりません。お茶碗を一周まわして…」と手ほ…

100につき5

物心ついたころから、この国では、100円につき5円が上乗せされるというのが商業のルールだった。 その前は3円だったらしい。 ショウヒゼイというそのルールは、この国を豊かに立ちいかせるための投資のようなものだった、けど、生きるに必死な一般市民にはど…

足のない幽霊

ある日の昼下がり。 教室で、古典教諭(きょうゆ)が、どうして日本の幽霊には足がないのかと尋ねた。 確か、有名な画家の絵が発端ではなかったか、と記憶を辿ったが、教師が尋ねているのはもっと伝承的なものかもしれないと思って、黙っていた。 男子生徒が…