手紙・いなくなった友へ

今日のうちに、あなたは遠くへ行ってしまうのか。

夢の中であなたは

「僕は罪を犯しました。これから償いにいきます」

と言った。

一体、あなたの存在のなにが罪だったというのか。

あなたは狂気を望んでいたが、あなた自体は狂気でなかった。

だのにあなたの周りの人は、

あなたが苦しみ乱舞するのを面白そうに眺めていたのだ。

彼らもまた狂気を望み、あなたを狂気に仕立てあげた。

私からすれば彼らのほうがずっとずっと狂って見える。

あなたは彼らの神だった。

狂気を現す偶像だった。

あなたは彼らを赦していた。

彼らはあなたを赦さないのに。

私はそれに一片も

気付くことができなかった。

 

あなたが神で在ることを私は認めるわけにはいかない。

私はあなたのことなど何一つもわかっちゃいない。

それでも確かにあなたは私に

柔くて膿んだ人肌を見せた。

私はしっかり覚えている。

 

あなたは他者ひとを拒絶する。

あなたは言葉を恐れている。

あなたは優しく臆病だ。

私はそれに甘えすぎた。

あなたの肉を切り裂き、本心を覗き見る勇気を持つことができなかった。

 

叶うのならば、もう一度あなたと語りたい。

無理矢理に、あなたのすました「神の面」をぶち割って、

惨めで矮小なすすり泣きを

確かに存在する人間の言葉として

卑屈に低俗に語り合いたい。

 

同じ人間として語り合いたい。