ネズミとミミズク(3)
怪異都市が始まった翌年の6月、鼠さんとビデオ通話的なものをすることになりました。
それまでにも自分はあくまでひとりの絵描きとして、何回かライブを配信していたことがあって、鼠さんがその文化(手法?)に興味を持ってくれたおかげの機会だったと思います。
当日はそれはそれは緊張しました。
鼠さんの声がどんなか、うまく話せるか、何を話すか…落ち着かなくて画面の前でひたすらそわそわしていました。
当の鼠さんはというと「漏らしても大丈夫なようにオムツ買ってくる」みたいなことを呟いていて、通常運転具合に笑ってしまいました。
とうとうコラボ配信が始まって、改めて自己紹介をして、
鼠神(あえて当時の呼び名)の声が思いの外ハスキーでかっこいいなと思ったのを覚えています。しょっちゅう咳をしてたので、タバコ吸ってるんだなぁと思いました。
その時使用したアプリは音質がいい代わりに30分ずつしか配信できず、緊張しまくっていた自分は呪わしいことに記念すべき1回目の配信を消してしまいました…今思い返しても腹が立ちます。
とにかく、鼠神とはいろんなことを話しました。
怪異都市のこと、動物虐待や戦争のこと、鼠神のタバコの本数などなど。
ライブは今でも残してありますが、自分の声が気持ち悪いので聴くのが恥ずかしいです。
深い話を沢山して、鼠神の絵の素晴らしさなどを語っているうちに感極まって泣いてしまいましたが、鼠神も一緒になって泣いてくれました。
配信が終わる頃には目が腫れて開き辛かったです。
ちゃっかりと次回の約束も取りつけ、完全に浮かれて、学校に行っている間もずっと鼠神のことを考えていました。
配信を何回も聴き返し、ニヤニヤして、鼠神が投稿したら飛び上がって喜んで。
今思い返してみても、ひとりのフォロワーさんに対する想いにしてはあまりに熱が入っていました。
「いや、ただの憧れだ。素敵なひとと素敵な創作ができて舞い上がっているからだ」
と、自分は大きすぎる感情に気づかないふりをしていました。